リハビリ職の「担当する入院患者」の決め方。方法によるメリットとデメリット。
こんにちは。
某総合病院勤務、理学療法士のゆろです。
病院勤務のセラピストの皆さんへ
「担当する患者の振り分けってどんなシステムですか?」
病院でリハビリを受けたことのある方、あるいは現在受けている方へ
「なぜ担当セラピストがこの人だったのか…」
気になりませんか??
病院をはじめ、医療機関では患者担当制が主です。
そんな担当制に焦点を当てます。
どうやってPTOTの「担当する入院患者」を決めるのか?
方法によって生じるメリットとデメリットとは?
パターン① チームリーダーが適正を判断して配分
【例えば】
血圧などが安定せず全身の管理が難しい患者⇒経験値のあるセラピストへ
専門領域に特化⇒認定療法士へ
比較的リスクが少ない⇒若手セラピストへ
介助量が多い患者、体格がよい患者⇒男性セラピストへ etc
ちなみに現在私が所属している職場、チームはこのパターンです。
私自身、配分する側の立場にあたります。
【メリット】
☑ 患者‐セラピスト間のトラブルが生じにくい
☑ 若手スタッフを段階的に指導できる
☑ 各スタッフの興味のある分野への挑戦を支援できる
☑ スペシャリストが育成されやすい
【デメリット】
☑ 配分する側の管理力と常識次第
☑ 業務量、負担の均等化が難しい
ポイントとしては…
患者にとって不利益が生じにくいパターンであり、
スタッフの自己実現をサポートしやすいことがメリットとなります。
そして、メリットが活きるかどうかは配分する側の配慮が重要となります。
配分する立場は大変です。
患者の情報収集も行って、
スタッフの業務負担、モチベーションも把握するのは難儀です。
パターン② チーム内で数の均等化を図る方法
【例えば】
スタッフ間で患者数が少ないセラピストに配分
スタッフ間で単位数(1単位20分)が少ないセラピストに配分 etc
【メリット】
☑ 配分側の負担は少ない
☑ スタッフ間の業務量の差は少ない可能性
☑ ジェネラリストを育成しやすい
【デメリット】
☑ 患者‐セラピスト間のトラブルが生じやすい
☑ セラピストのモチベーションに影響が出やすい
デメリットが露わになった事例を紹介…
某病院勤務の同級生A(40代女性)からこんな連絡がありました。
A:もう全介助の患者さんは持てない…
体に支障がでたんだけど、容赦なく患者振られる
ゆろ:え? 言って割り振られる患者配慮してもらえばいいじゃん?
A: 「できないなら辞める?」みたいな職場なの?
悪い意味で男女平等みないな感じがする…
歳も重ねて続けられる自信ないし
ゆろ氏の職場ってどうやって患者振り分けてる?
ゆろ:うちは患者情報をはじめにみて振ってる。
重い人とかは基本男性スタッフかな。
あとは…例えば泌尿器科の患者だったら
排尿ケアチーム所属のスタッフに振ったりとか。
A:え?私と同世代の女性は重い人持たないの?
ゆろ:本人が志願すれば担当してもらっているけど…
それじゃあ離床するときとか誰のメリットにもならないのでは??
A:そんな配慮…目から鱗だよ。
こんなやり取りをしました。
Aさんはその後1か月の病休をとっていましたね…
数だけを調整しようとして振り合分けると
セラピストの体調やモチベーションに影響しかねない
なにより患者にとって不利益も生じやすいです。
事例のように離床促せないなんて、どうしようもなく不利益!
せめて体格、介助力、スキルなどへの配慮は最低限必要でしょうね。
パターン③ セラピスト自らが患者を選ぶ
あまりないパターンかもしれません。
【例えば】
新規患者の処方箋BOXのようなものがあって
セラピストが選択する。
もちろん処方が出た時間が早い患者から選好され、
悩むケースはリーダーが振ったり担当したり…
【メリット】
☑ セラピストのスキル、モチベーションに釣り合う
☑ 自分でスキルアップの機会、内容を選択できる
【デメリット】
☑ 若手スタッフの教育が足並みそろわない
☑ スタッフ間で担当患者に偏りが生まれる
☑ 逆に患者をとらないとプレッシャーを感じる
社会ですからいろんなセラピストがいます。
自由な選択が過ぎるのも少々抵抗がありますね。
いずれは患者がセラピストを選択する時代がくるかも
こんなタイトルにしましたが、あるいはもうそうなっているかも。
だって、
患者は自分で病院を選ぶ。
自費診療をするセラピストを選択する患者もいる。
担当した後に介入を拒否され、担当を変えるなんてことは臨床あるある。
患者さんは治療内容も、環境も、自由に選択できます。
当たり前の権利ですし、そうでなくてはいけません。
その時に、選ばれるセラピストになるため
我々セラピストは研鑽しているといっても過言ではありません。
認定資格をとったり、
新たなスキルを求めて研修にも参加したり、
コミュニケーションスキルに磨きをかけたり…
お互いに研鑽しつつも
セラピストの生き残り競争は始まっているのです。
今回のオチ
これまで2つの病院で勤務してきましたが、
病院によって、チームによって患者の振り分けはみな異なり、
何度か方法を変えたりしてきました。
結局どの方法でも腑に落ちないことってあるだと思います。
パターン①でやっている現在、
ちょっと振り分ける側も気を遣いすぎる(苦笑)
管理職だからしょうがないにしても
患者さんのこともスタッフのことも把握するって
大きな組織であればあるほど、きっついな~~~
気軽に覗いてみてください。