更生装具が壊れたらどこに問い合わせる?装具難民を救済せよ!
こんにちは。
ゆろです。
皆さんは「装具難民」という言葉を聞いたことがありますか?
同職者、義肢装具士さんが多く活用している用語かと思います。
装具難民とは??
決まった定義はないです。
ですが、こんな状態が該当します。
☑ 疾病により本来なら装具が必要な状況で装具処方がない
☑ 装具の長期使用による故障や劣化があるにも関わらず使用している
☑ サイズが合わなくなった、当たって痛い等 にも関わらず使用している
そして…
☑ 上記不具合がありながらも問い合わせ先がわからない
周囲のこの状態に陥っている方がいたら、
ぜひこの記事を見てアクションを!
後述するいずれかに問い合わせれば基本的に大丈夫!
Contents
・エピソード紹介
・治療装具と更生装具
・更生装具トラブルの問い合わせ先
・装具難民救済の展望
エピソード紹介
脳神経外科の外来からリハビリ処方が…
処方内容:装具が合わなくなったと相談がありました。対応してください。
ゆろ心の声:ざっくり~。こっちに投げすぎ~。
そして患者さんとお会いして装具を拝見…(上画像)
状況:足を固定させるベルクロ壊れてまさかのガムテ!?
ゆろ心の声:え!?この状態で半年以上使ってたんですか??
デイサービスや訪問サービスを利用して方でしたが誰もノータッチ…
ちょっと衝撃でした。
周囲の関心が向かなかったか、
サポートの方法を知らなかったか…
私の対応はこちら
生活期の装具難民を救済したい…半年以上壊れた装具使ってた方が外来に。
— ゆろ (@yuro0822) 2021年1月22日
義肢装具士さんと再作製案相談して、障がい者更生相談所に予約。作り直し方向でフォロー。
在宅スタッフとの連携とか頑張りたい!#下肢装具#更生用装具 pic.twitter.com/sSR6hM6btF
作製案を紹介状としてお渡ししました。
後日談:経過を確認したところ無事に行政手続きに進んでいました。
ゆろ心の声:よかった~
治療装具と更生装具
装具は目的によって2種類に分けられます。
「治療装具」と「更生装具」です。
治療装具とは?
☑ 病気を発症して、その症状が固定される前に使用するもの。
☑ 医師から処方される。
☑ 治療そのものを目的としている。
☑ 使用期間は一時的であり、日常で使用することを目的にしていない。
☑ 各種医療保険を利用。
☑ 装具代はいったん全額支払い、後に保険制度に応じた金額の払い戻し。
更生装具とは?
☑ 治療期間を終えて、症状が固定した後に使用。
☑ 日常生活における質の向上が目的。
☑ 社会福祉制度によって手続きが異なる。
☑ 身体障害者手帳を使用する場合、障害者総合支援法に基づく。
⇒原則1割負担。※所得に応じて一定の負担上限あり
参考までに
分かりやすいのは入院中
もしくは発症間もない時期に掛かりつけ医で作製した装具は
いわゆる「治療装具」なわけですが…
近年の装具はハイスペック!
例えば…
入院していた脳卒中患者さんに作った治療用下肢(足)装具は
退院後もしばらく(印象としては2~3年近く)は
日常生活で使用されてます。
逆に、
入院中に医療保険で2つの下肢装具を作製される方もいます。
例)早くに長下肢装具(腿上まであるもの)を作り、
退院前に生活用の短下肢装具(膝下のもの)も作る
※注意)短下肢装具2つは組み合わせとして医療保険では作れません。
長下肢装具ー短下肢装具 〇
短下肢装具ー短下肢装具 ✖ ややこしいですね~
ここで…
今回のテーマともなる「装具難民」状態に陥るケースの多くが、
「更生装具」の問題となります。
更生装具トラブルの問い合わせ先
そもそも…
関与する機関・施設
☑ 市町村の福祉事務所
☑ 義肢装具製作所
☑ 更生相談所 or 指定医の所属の医療機関
関わるメディカルスタッフ
☑ 医師(医学的判定のため)
☑ 義肢装具士
※ どんな装具がよいかセラピストの意見があればより理想と言えます。
手続き自体を考えると…
市町村の福祉事務所が正解なのでしょう…
しかし実際!
患者本人、本人を取り巻く家族やケアスタッフも
身体や装具の不具合で
最初に思い浮かぶ問い合わせが「行政」ではないことです。
全く問題ありません。
先述した私のエピソードのように、
とにかく関与するメディカルスタッフへ相談してみてください。
その際は…
☑ 治療装具やお持ちの更生装具を作製した会社や義肢装具士へ
☑ 担当している、あるいはしてくれたセラピストへ
☑ 掛かりつけの医療機関へ
個人的には…
☑ 担当ケアマネージャーへ
この記事で小難しい手続きの流れをご紹介するつもりはありません。
上記のいずれかに問い合わせがあれば、
次のアクションが自然に生まれるからです。
関連施設の紹介や次の問い合わせ先へと繋がります。
注意すべきこと
更生装具を作製する、修理するのは
治療装具と異なり手続きが複雑なんです。
1か月以上かかるケースがほとんどです。
装具が手元に届くまでさらに時間がかかります。
お早目のアクションを。
装具難民救済の展望
病院勤務をしていて感じること…
患者さんが退院した後はもう目が届かない…
退院後のケアスタッフに申し送ります。
けれども装具への関心はセラピストほど強くない。
だからこそ心掛けていること…
☑ 装具の作製元だったり管理の仕方をしっかり申し送る
☑ 一人でも多くのケアスタッフを巻き込みたいと思い啓蒙活動
☑ とくに要介護者の窓口となるケアマネージャーに注目している
せめて住んでいる地域の装具難民がいなくなりますように(祈)
今回のオチ
少々お堅めの記事となりました。
久々のテンションを感じています。
私とてセラピストですから。
そして2021年、予定としては下半期から訪問事業へ転職する私。
少しでも「装具難民」問題に貢献できるように頑張る所存 m(_ _)m
気軽に覗いてみてください。