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とある理学療法士の就労、そして子育て奮闘記

脳卒中の総合評価尺度を比較。SIAS と FMA どっちを使う?

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こんにちは。

理学療法士 ゆろ です。

 

認定療法士(脳卒中)を取得し、

脳卒中患者と共に日々奮闘中です。

 

セラピストの皆さん

脳卒中の総合評価にどの評価法を用いていますか?

 

ガイドラインでも推奨されている評価法はいくつかありますが、

その中でもSIAS FMA についてまとめてみました。

 

 

 

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脳卒中のリハビリ総合評価尺度

脳卒中治療ガイドライン2015」でも

信頼性・妥当性が検証された総合評価尺度を用いるように勧められています。

 

脳卒中リハビリテーションにおいて、

臨床でよく目にする総合評価尺度の代表が…

 

Stroke Impairment Assessment Set;SIAS

Fugl-Meyer Assessment;FMA

 

ちなみに私もこの2つを使用しています。

それぞれの特徴から臨床で使い分けをしている感じです。

 

 

SIASについて

SIASの概要

開発:1994年

開発者:千野 ら

本邦発の脳卒中機能評価法です。

 

項目:

麻痺側運動機能

筋緊張

感覚

関節可動域

疼痛

体幹機能

視空間認知

言語機能

非麻痺側機能

以上、9種の機能障害に分類される全22項目で構成。

各項目3点 あるいは5点 満点で評価。

 

SIASの特徴

☑ 総合評価セットでありながら内容が簡便

短時間での総合評価が可能

☑ 世界での汎用性は低い

☑ 非麻痺側機能など予後に関与する内容も含まれる

レーダーチャートにすることで障害像とアウトカムが視える化 ↓

 

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FMAについて

FMAの概要

開発:1975年

開発者:Fugl-Meyer(スウェーデン) ら

脳卒中の総合評価法としては世界で初めての評価法。

 

項目:

上肢運動機能 66 点

下肢運動機能 34 点

バランス 14 点

感覚 24 点

関節可動域・疼痛 88 点     Total 226

 

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実は本邦では詳しい評価方法を記したマニュアルが見当たらない説…

正しい評価方法がわからず使用に至らない…

なんてこともあるあるなのでは??

 

英論文ですが、こちらを参考にしてみてはいかがでしょう!

Katherine J, et al. Fugl-Meyer Assessment of Sensorimotor Function After Stroke Standardized Training Procedure for Clinical Practice and Clinical Trials.Stroke. 2011;42:427-432.

 

FMAの特徴

世界的に汎用されている

☑ すべての項目を評価するとかなりの時間がかかる

☑ 上肢運動項目、下肢運動項目あるいはその合計点は研究アウトカムとして報告多



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SIAS と FMA どっちを使う?

向き不向き

本邦のリハビリテーションは単位(時間)で区切られます。

 

評価は短時間で的確に。

そして何かしらの結果や反応を限られた時間(期間)で求められます。

 

特に外来リハビリテーションなどはその制約を感じるところです。

 

病院診療における状況を考えると、

簡便性が優先されやすく、

臨床的に汎用しやすいのは SIASFMA 

 

一方でFMAのある項目をだけを抜粋し、

評価バッテリーとして使用することも多くあります。

 

主な目的は臨床研究です。

FMAは世界的に汎用された評価法であり、

海外での論文発表などでは絶対的地位を確立しています。

 

検者間信頼性(誰が評価しても同じ結果が得られるかどうか)も検証され、

項目ごとの内容も細かく、

点数幅として変化を得られやすい印象があります。

 

全項目を評価することよりも上肢や下肢の運動機能など

ターゲットとする項目にフォーカスを当てた

治療のアウトカムとして有効に活用できます。

 

一患者の障害像を経時的に把握するのであれば、SIAS > FMA

 

ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)をはじめ、

治療成果の検証を目的にするのであれば、SIAS < FMA(項目別)

 

こういった考えが多いようです。

 

実際、私の勤務している病院では…

急性期ではSIASを使用しています。

失語や半側空間無視などの高次脳機能障害、Pushing症候なども把握できて

なにより短時間で評価できることが最大のメリットと考えています。

 

急性期って処置や検査が優先されるので本当に慌ただしいんです(汗)

 

一方で亜急性期~回復期にかけては、

ニューロリハビリテーションの取り組みに合わせてFMAを使用しています。

 

例えば…

☑ ボツリヌス療法

☑ 経皮的電気刺激、磁器刺激装置などのニューロデバイス

☑ CI 療法やGRASP

☑ 促通反復療法(川平法)  etc

 

これらのアウトカムとして、

理学療法士は、下肢運動機能項目(FMA-LE)を。

作業療法士は 、上肢運動機能項目(FMA-UE)を評価しています。

 

SIASに限らず、総合評価、機能評価の概要なども参考になる文献はこちら。

 

まとめ

SIASでもFMAでも、その他推奨されている評価法でも

脳卒中患者の障害像把握に総合評価は必要と感じます。

 

どの評価法を用いるかは、

目的と職場の就労状況に応じて検討することが大切なのでしょう。

 

 

今回のオチ

最初に勤めた某脳神経外科病院では、

いずれの総合評価法を使用していませんでした。

 

推奨されているにも関わらず…

医療機関における文化って怖いな~なんて思うときがあります。

 

他セラピストへの情報提供としても使えるツールは使用すべきですね…

 

 

気軽に覗いてみてください。

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