Web学会開催のポイント。準備委員が語る5つの対策。
こんにちは。理学療法士のゆろです。
2020年、新型コロナウイルス感染対策として多くの学会がWeb開催に切り替えました。
私自身も某学術集会の準備委員としてWeb開催に向けて参画しました。
良かった点、悪かった点、トラブルになったことを踏まえて5つの対策を挙げました。
昨今のコロナ感染が収束するまでしばし、web開催が主となることが想定されます。
ぜひ参考になれば幸いです。
Contents:Web学会開催のための5つの対策
① 参加人数1,000人以上を想定する場合は必ず業者に委託
② 業者とのやり取りは1~2人に限る
③ 規模が大きい学会ほどライブ配信は極力避ける
④ 学会当日、準備委員は必ず一か所に集結する
⑤ 予め想定されるトラブルをシミュレーション
※実際に多かったトラブルを紹介します。
参加人数1,000人以上を想定する場合は必ず業者に委託
人数が多ければ多いほどオンラインによる通信トラブルが想定されます。
当日の通信トラブルは避けたいですし、解決し難い問題でしょう。
Web会議で多くの方が利用しているクラウドサービス「ZOOM」はウェビナー(ウェブによるセミナー)であれば10,000人まで可能なようです。
ただし、ビデオ録画したものを一方的に発信するビデオウェビナーに限られ、リアルタイムな会議システムとは異なります。
会議システムでは有料プランで1,000人までとされています。
参加人数が多いのに受講者へのメール送信、問い合わせの対応など本業をしながらすべての対応をするのは非常に酷です。
あくまで問い合わせ先として準備委員が間に入って、学会システムはすべて業者に委託し、対応してもらったほうが確実かつ楽です。
受講者へのメール送信、学会ログインIDの管理もすべておまかせでOK。
実際に準備委員会だけでは対応困難な案件も多く、当日はほとんど業者に解決してもらいました。
もちろん、費用は掛かりますが、学会会場費と思えば安いですし、1,000人を超える学会であれば収集した会費も大きな額になります。
ちなみに私が参画した学会の会費は、
ビデオウェビナー形式で閲覧可能期間 1週間
会費 3,000円
参加人数 1,000人ちょっと
業者委託費は業者によりことなりますが、業績と支出限度額から選択しましょう。
昨今の感染対策で多くの業者が学会を手掛けています。
その業者が実際に手掛けた学会を参考にしてみましょう。
業者とのやり取りは1~2人に限る
例えば、準備委員が総勢10人いるとして、そのすべての準備委員が業者と連絡をとれた方が効率的かもしれません。
それぞれ役割をもって準備にあたっているでしょうから、それぞれで業者の力が必要となるからです。
しかし、その業者は複数のセミナー、学会を手掛けている最中かもしれません。
業者側もおそらく学会担当者1~2人だけをあげて連絡をとろうとします。
その担当者に連絡が集中してしまうわけです。
実際、
電話したとき…「別件対応中です。」「席を外しております。」
メールしたとき…返信がない、もしくは返信まで時間がかかる
といった感じで8割がた連絡がとれませんでした。
一方で、準備委員で事務局を1人たてて、業者への連絡を絞ったときは、
1回の問い合わせの件数は増えるものの、連絡頻度は少なくて済み、業者側も混乱が少ないのか返信もいくらかスピーディになりました。
いったん事務局を介するといった手間を無駄と考えてしまいがちですが、準備委員の中でも情報共有の機会にもなりますし、何度も業者に連絡をするよりは円滑に準備を進められました。
規模が大きい学会ほどライブ配信は極力避ける
ここでいう規模とは?
・開催期間が数日にわたるもの
・参加人数が1,000人を超えるもの
私が参画した学会の概要は、
☑ 口述のセミナー、講演などはPower Pointに音声録画したビデオウェビナー形式。
☑ ポスターはe-ポスターとしてPDF化したもの。
☑ 掲示板やチャットなどのシステムを用いて1時間程度の質疑応答時間を設けた。
☑ 演者は質疑応答時間はオンラインで待機、質問に対して返答してもらう。
☑ 1週間は何度も閲覧できる。ビデオウェブナーゆえに好きな時に好きなだけ。
ビデオウェブナー形式のメリット
☑ 基本的に通信トラブルの問い合わせはなし。
☑ e-ラーニングのように何度も再生が可能で参加者側は余裕を持てる。
☑ 演者の拘束が短時間で済む。※質疑応答の方法次第。
☑ 閲覧可能期間を長めに設けることで参加者数アップが望める。
業者曰く、規模が大きいとそれだけトラブルも多様だそうです。
トラブルを最小限に。
かつトラブル対応中も参加者の不利益になりにくい。
当日の準備委員会の負担がかなり軽減される。
以上の観点から、極力ライブ配信は避けるか最小限にすることをお勧めします。
一方でこんなデメリットもあります。
ビデオウェビナー形式のデメリット
☑ ライブ感がないので学会としてのモチベーションは人によって差がある。
☑ 質疑応答、参加証明システムの検討が必要。※業者と相談
☑ 対面で行う学会よりも会費が安価になる場合が多く、参加者が増えないと赤字。
企画側が「どんな学会にしたいのか?」
準備委員でそこだけは共通認識として検討していただければと思います。
学会当日、準備委員は必ず一か所に集結する
Web開催とはいえ、準備委員会のメンバーは一か所に集まったほうがいいです。
期間が数日にわたる場合はメインとなる週末に限っても集結しましょう。
問い合わせ先を業者にするにせよ、準備委員にするせよ、どんな問い合わせがあったのか把握する必要があります。
次回大会へ申し送る際の参考にもなります。
また、学会の質疑応答などの各システムを準備委員として操作したり、演者への誹謗中傷のコメントを削除したりとそれなりに仕事はありました。
当日は準備員会で役割分担をして、情報を常に共有できる環境が望ましいです。
予め想定されるトラブルをシミュレーション
実際に多かった問い合わせ、トラブル
☑ メールを送ったが届いていない、ログインIDがわからない。
☑ ログインできない。
☑ PCのセキュリティにブロックされる。
☑ 学会HPや広報を見逃し、学会概要の変更に気づかなかった。
などです。
携帯のアドレスで参加登録し、受信に至らなかった方や迷惑メールとして処理された方が多くいました。
また、学会当日まで準備委員会ないし業者からのメールを確認しておらず、直前になって「メールが届いていない」という問い合わせがかなりありました。
メールでログインIDなどを配布していましたので、「IDがわからない」といった問い合わせも同様です。
ログイン画面に至らず、PCのセキュリティによりはじき出されるという案件もありました。
デバイスを変えたり、Googl ChromeからHPを開くことを推奨されたりと、素人には難しいことを業者からはアドバイスされました。
また、企画しはじめは「閲覧可能期間を10日ほど」とHPで掲載していたのですが、間もなく1週間に変更。
ここで閲覧可能期間の1週間を過ぎる頃に「話が違う」と問い合わせが。
変更してから2~3か月は経過していたのに(怒)
とはいえはじめての企画でもあり、広報活動の課題として閲覧可能期間を3日ほど延長したのでした。
企画上、起こりうるトラブルは想定し、その対応策も考案しておく必要があります。
こればかりは業者ではなく、企画者として準備委員が決断しなくてはならない案件が多いかと思います。
今回のオチ
おそらく現時点で学会の準備委員を拝命されている方の多くはWeb開催を余儀なくされているかと思います。
業者お勧めです。
素人では100人単位のZOOMセミナーがいいところかと感じています。
貴重な体験をしました。
いろんなマニュアルも作成しました。
録画データのアーカイブ化とか…
そして、いくつか小さめの学会主催者からそのマニュアルデータを参考にしたいと問い合わせを受けている今日この頃…です。
商売できるのでは?(ニヤリ)